#49 ヨガと子どもの成長

 
こんにちは。
ヨガインストラクターのuriです。
 
今回のテーマは「ヨガと子どもの成長」です。
 

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◻️小学生向けのヨガイベントを開催
先日とあるアクティブラーニングスクールで、ヨガのオンラインイベントをさせていただきました。
 
子ども向けのヨガに関する情報や、発達に関する文献を読みながらクラスメイキング。当日は小学1年生から6年生まで、10人以上が参加してくれました。

イベント後は「気持ちがすっきりした」「楽しかった」といった感想をもらいました!私も楽しかったです!
 

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今回の情報収集から当日の進行を通して、興味深いなと思った「ゴールデンエイジ」という考えをご紹介します。

◻️「ゴールデンエイジ」とは
子供の身体・運動能力が著しく発達する時期のこと。具体的には5~12歳を指します。
この時期に神経系の発達がほとんど完成するため、正しい動作を身につけるには最適な時期と言えますが、逆に悪い姿勢やクセ等を大人になってから直そうとしても難しいので、正しい姿勢を習得することが非常に重要です。
 
「スキャモンの発育曲線」は、どの年代にどんな能力が発達するのかをグラフ化したもの。神経系の発達は12歳でほぼ100%。つまり、あなたの今の運動神経も10~12歳の時に作られたということになります。
 

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この時期にさまざまな動作を経験することで、脳が刺激され、運動神経も発達していきます。
 
このゴールデンエイジを、「プレ・ゴールデンエイジ(5~9歳)」と「ゴールデンエイジ(10~12歳)」に分けて考えるようです。それぞれ、プレ・ゴールデンエイジは「神経系の発達」、ゴールデンエイジは「即座の習得」が特徴だそうです。
 
ゴールデンエイジ期の子どもは、初めてチャレンジする動作でも見よう見まねでできてしまうことがあります。またこの時期に習得した動作(技術)は大人になっても落ちないという特徴があります。
 
◻️「ゴールデンエイジ」の考えを取り込んだヨガレッスン
プレ・ゴールデンエイジ期に、様々な運動を体験させることが大切です。なぜなら、複数の動きを同時に行うので、脳が刺激され活性化するからです。筋力やジャンプ力など、複数の運動神経が脳によって「コーディネート(協調)」され「すばしっこい」「たくみ」な動作ができるようになります。
 
これらを参考にしながら、小学生向けのヨガクラスを考えました。
 
●正しい姿勢を体感し、自分で再現できること
●「コーディネーション」=筋力・柔軟性・バランス感覚・踏ん張りなど
●全身を動かすことで、複数の動きを同時に行うこと
 
まずは壁を使った「正しい姿勢講座」。そのあとは「動物園の散策」というテーマで動物のポーズをとっていきます。

もちろんコーディネーションの観点から、バランスよく全身を使うようにポーズを組みました。最近の子どもの中には、立位時に足の指が地面から浮いてしまう「浮指」になってしまう子が多いというニュースを見たので、カエルの真似をしながらつま先立ちになり、足の指10本を床にベターとつけてみたり。(小指までしっかり!)
 

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逆にヨガで補いきれないと思った「リズム感」は、BGMに合わせてリズムよく足踏み行進。「ジャンプ力」は「バネ力」と置き換えて、サルの真似をしながら屈伸のまま跳ねる動きを取り入れたり。
 
子ども向けのヨガは独学ではありましたが、参加してくれたみんなにとってコーディネーション能力を養う機会になったのなら嬉しいです。また精神性にも触れ、もし嫌なことがあったりモヤモヤしたら、呼吸を整えたり体を動かしてみるといいよ、とも伝えました。
 
今回のイベントをきっかけに、将来何かの折に子どもたちがヨガを思い出し、それが彼ら、彼女たちにとってプラスになれば本望です。
 

#48 しゃがむ動作

 
こんにちは。
ヨガインストラクターのuriです。
 
今回のテーマは「しゃがむ動作」です。
 

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◻️「しゃがむ」動作で使う筋肉は?
「しゃがむ」動作は、足関節(足首)、膝関節、股関節を曲げていきます。深くしゃがむにつれて、より関節を曲げ、関連筋を使う必要があります。
 
この「しゃがむ」際に必要な筋肉を、前回学んだ「拮抗筋」も踏まえ考えてみました。
 
足首の背屈・・・前脛骨筋、長趾伸筋、第三腓骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋
膝の屈曲・・・・大腿四頭筋、ハムストリングス(縫工筋)
股関節の屈曲・・腸腰筋、大殿筋
 
前回の記事にもまとめましたが、筋肉は単体ではなく「主動筋と対になる拮抗筋との相互作用」により筋力を発揮します。上記のように「身体の表・裏の筋肉」が効率的に働いてこそ、スムーズな動きができるようになります。
 

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また、ひとくちに「しゃがめない」といっても様々な種類があり、それぞれ原因となる筋肉が異なると思います。
 
膝が内に倒れる・・・大殿筋、外旋六筋
踵が床につかない・・長母趾屈筋
前傾姿勢になる・・・大腿四頭筋
腰が丸まる・・・・・腹筋群や脊柱起立筋もしくは骨盤前傾
 
◻️しゃがむポーズのひとつ「マラーサナ」

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腰痛を引き起こさない・悪化させないようにしゃがむためには、「背椎を伸ばしたままでしゃがむ」ことが必要ですが、その際に「前屈姿勢」になってしまうことがあります。
 
この「前屈姿勢」は、頭が脊椎の延長戦上から外れてしまうことで、頸部や腰部に負担をかけてしまうため、頭部が脊椎の延長線上から外れないよう脊椎をまっすぐ維持する必要があります。
 
ただ「脊椎をまっすぐにしたまましゃがむ」というのは、なかなかバランスの取りにくい動作です。背中そのものの筋肉を鍛えればよいだけではなく、骨盤の傾き(骨盤に付着する筋肉)も大きく関係しています。なぜなら脊柱起立筋のひとつ「最長筋」は、骨盤の「仙骨」から後頭部の「側頭骨」に付着しているからです。
 
またマラーサナで重心を落とし、膝の内側で合掌しているときに、胸が閉じて落ちてしまうこともあります。そうした場合は、肩回りの筋力低下を考えてみます。「肩を後ろにひき胸を張る」作用がある、僧帽筋や菱形筋が弱っている可能性があります。
 
どのヨガポーズでも「上肢下肢・身体の表裏」に触れたインストラクションになることが多いのですが、それは結局「筋肉は繋がって相互作用しあっている」ということなのかなと思います。
 
全身の筋肉をバランスよく鍛えるのが、身体改善にむけて一番の近道かもしれないですね。
 
 

#47 ヨガに足りない要素とは?


こんにちは。
ヨガインストラクターのuriです。
 
今回のテーマは「ヨガに足りない要素とは?」です。
 

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◻️そもそも「ヨガで得られる効果」とは?
ある日SNS上で、とあるトレーナーさんのとある投稿が目にとまりました。
(いつもはこの方の投稿で、ありがたく勉強させていただいています・・!)
 
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ヨガ・ピラティス・ストレッチだけでは足りない要素がある。
・ヨガピラティス/姿勢保持筋力UP・インナーマッスル力UP・呼吸筋力UP
・ランニングジョギング有酸素運動・足裏からの刺激・筋持久力UP・呼吸筋力UP
・筋トレ無酸素運動・筋力UP
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この方の考えによると、ヨガでは【足裏からの刺激】【筋持久力UP】【有酸素・無酸素運動】の効果が得られないということになります。本当にそういえるのか?気になったので、今一度考えてみました。
 
たしかに一口に「運動」といっても「ヨガ・ピラティス」「ストレッチ」「ランニング・ジョギング」「筋トレ」など様々な種類があり、それぞれ特化した効果が得られると思います。
 
そこでまずは「ヨガの運動プロセス」を図式化してみました。【】の部分が、先述の「ヨガでは足りない要素」とされていた部分です。
 
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呼吸と姿勢の改善→柔軟性の改善(可動性の改善)→呼吸筋UP→姿勢保持筋&【足裏からの刺激】→インナーマッスル→【筋持久力UP】→心肺機能UP→代謝UP
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【足裏からの刺激】は、ヨガで十分得られると考えます。いつもレッスンで意識している「足裏3点のアーチ」です。【筋持久力UP】も、ヨガで得られると考えます。ポーズをキープするときに、持久力が養われます。
 
では【有酸素・無酸素運動】についてどうでしょうか。かなり大雑把にざっくり説明すると、【有酸素運動】は酸素を使う運動を20分以上すること、【無酸素運動】は酸素を多く使わない運動を1~3分することです。
 
そしてヨガのクラスでは一般的に60分間、上記のサイクルを意識しながら構成されています。安定した腹式呼吸を意識しながら酸素を取り込み、脂肪が燃焼し始める20分以上動くヨガは、【有酸素運動】といえそうです。またクンバカ(プランク、板のポーズ)など呼吸量が減るポーズもあることから【無酸素運動】の要素も加えられそうです。
 
◻️「有酸素・無酸素運動」をもう少し詳しく
有酸素運動は、インスリンの働きを良くし、血糖値を低下させます。「酸素」を燃料として、「体脂肪」を燃焼させます。
 
20分以上で脂肪燃焼・・!というのはよく知られているかと思います。運動開始20分までで使われる脂肪は「血中の脂肪」。 これはこれで血液がサラサラになるため、健康維持のためなら十分です。
 
が、脂肪細胞を減らすためには、もう少し続けます! 運動開始20分後から使われる脂肪は「内臓・皮下脂肪」です。リパーゼという酵素で、少し汗ばむくらい体温が上がってくると、活性化します。
 
ですが無理に頑張りすぎると「糖質(グリコーゲン)」ばかり多く使われ、「体脂肪」がうまく燃えなくなってしまいます。
 

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一方で無酸素運動は、「速筋(白筋)」を鍛えることができます。速筋は加齢にともない萎縮しやすく、健康や体力の維持のために欠かせない筋肉です。
 
無酸素運動とは運動中に呼吸をしていないということではなく、筋を収縮させるためのエネルギーを、酸素を使わずに作り出すことからこのように呼ばれています。
 
酸素ではなく、筋肉に貯めておいた「糖質(グリコーゲン)」をエネルギーとして使います。※筋を収縮させるための直接的なエネルギー源はアデノシン三リン酸(ATP)
 
その過程で乳酸を生成するので、短時間で疲れやすく強度の高い運動が持続できる時間は1~3分程度です。短時間ですが、大きな力を発揮したりや速い運動を行うため、筋線維の中でも特に速筋(白筋)が使われます。
 

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◻️ヨガの足りない部分とは?
筋肉を大きくするためにもっと高負荷をかけたい!という方や、腕など一部の筋肉だけを集中的に鍛えたいという方には、少し物足りないかもしれません。また体が固い方にとっては、ヨガレッスンに参加するハードルがやや高いかもしれません。(本当はそういう方こそ、ヨガで柔軟性を徐々に高めていただきたいのですが・・!)
 
しかし【体のゆがみからくる不調を改善したい】【ボディラインをキレイに整えたい】という想いがある方は、やはりヨガやピラティスがよい方法なのかなと思います。
 
まずヨガの特長として挙げられるのは【呼吸にフォーカスすること】。安定した呼吸にあわせてポーズをとることで、呼吸筋(いわゆる体幹)が鍛えられます。さらに体の緊張がほぐれ、柔軟性も改善されていきます。
 
次に【姿勢(アライメント)】。ニュートラルな姿勢を意識しながら、骨格や筋肉の整合性をあわせていきます。関節がねじれたまま運動して、ねじれた状態のまま筋肉がつくのがよいことなのか・・というと、当然良くなさそうですよね。筋トレの場合は、やはりトレーナーのフィードバックをタイムリーに受けるのが安全だと考えます。
 
また【ヨガの哲学】も、特長といえるかもしれません。ヨガは「人と比べない」「否定しない」「無理しすぎない」が基本のスタンスです。前述の「頑張りすぎると体脂肪が燃えない」という点にも繋がるかもしれません。(ヨガ哲学はまだまだ勉強不足ですが・・)

あらためて考えてみたときに、ヨガは適切な呼吸+ニュートラルな姿勢を意識しながら、まず体のゆがみを自覚。その上で、無理なく筋力を向上し、代謝を上げる、という好サイクルなんですね。
 
 

#46 拮抗筋

 
こんにちは。
ヨガインストラクターのuriです。
 
今回のテーマは「拮抗筋」です。
 

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◻️筋肉のウラオモテ
筋肉は「一方向に(のみ)縮む」ことはできても、「自ら伸びる」ことはできません。
 
例えば肘を曲げる時には、「上腕二頭筋」が縮むことによって動きます。一方で腕を伸ばす時には、この「上腕二頭筋」自体が、自らを伸ばすことはできません。そこで、上腕二頭筋の裏側について逆の働きをする「上腕三頭筋」が縮むことによって、肘が伸びていきます。上腕二頭筋は自ら伸びているのではなく、上腕三頭筋の収縮によって起こる力で伸びているのです。
 
このように、筋肉には必ず逆の働きをしてくれる「拮抗筋」が存在します。関節を曲げる方向に動かす筋肉が「屈筋」、伸ばす方向に動かす筋肉が「伸筋」と呼ばれるものです。
 
それぞれの筋肉は、必ず自分を伸ばしてくれるパートナーをもっています。例えば、前述の「上腕二頭筋に対する上腕三頭筋」、「大腿四頭筋に対するハムストリングス」です。
 

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◻️拮抗筋を意識的に使ってみる
筋力トレーニングのような運動の場合、この「拮抗筋」が筋肉を伸ばす作用を重力やバーベルなどの負荷が代替してしまうので、拮抗筋はあまり働きません・・。
 
この拮抗筋にアンバランスが生じしっかり働かないと、筋肉が縮みっ放しになってしまい、やがて運動が下手になってしまう可能性が高くなります。それが長く続くと、慢性的な障害につながる危険性も出てきます。

運動によっては拮抗筋同士が共収縮することで、関節にかかる強いストレスを防いだりもしていますので、拮抗筋同士はバランスよくトレーニングしなければいけません。
 
体の前面に位置し、屈曲頻度が高い筋肉は、負荷がかかりやすいのかもしれません。

例えば「上腕二頭筋」「大腿四頭筋」などは、重力に逆らい物を持ち上げる(=屈曲)動作が頻繁です。
 
荷物を持ち上げ下げる際に、本来であれば「拮抗筋」が担う「筋肉を伸ばす」作用を、重力が邪魔してしまっているのかもしれません。そのため、体の表面に位置する「二の腕前面」「太もも前の筋肉」が大きく太くなって張りやすく、逆に裏面にある「二の腕裏面」「太もも裏の筋肉」がうまく働かない、といえそうです。
 
そういった意味でも、ヨガの中で積極的に「伸展」動作を取り入れることは、拮抗筋をほぐし鍛える上で重要なんですね。
 
さらに「小胸筋」と「僧帽筋」も拮抗の関係にあるようです。上記と同様、「小胸筋」も肩を前に出す「屈曲」動作で働く筋肉なので、この「小胸筋」は使いすぎで凝りやすいのかもしれません
 
ではこの屈曲した肩をおろすときに「背中側の拮抗筋が働いてるな~」と意識するかというと、していないと思います。重力に従って無意識に肩を下ろしているでしょうし、それが本来「僧帽筋」が担う「筋肉を伸ばす作用」を阻害しているといってもよいと考えます。つまり僧帽筋がうまく使えていないということです。
 
これらを踏まえて、ヨガでポーズをとる際にも、以下のことを意識すると効果的かもしれません。
 
●屈曲からニュートラル位(もしくは伸展位)に動かす時には、拮抗筋を意識してみる
●積極的に「伸展」「後屈」ポーズを取り入れる(シャラバ、ダヌラ)
 

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筋肉の動きを効率よくスムーズにしたければ、拮抗筋に着目するのも一つの手かもしれません。

 

#45 壁を使ったヨガ練

 
こんにちは。
ヨガインストラクターのuriです。
 
今回のテーマは「壁を使ったヨガの練習」です。
 

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◻️壁を使って「感覚」を掴む
「腰が反ってると言われても、自覚がない・・」
「ポーズをどう直したらいいかわからない・・」
 
そんな時は「壁」を使って練習してみませんか?インストラクションだけではしっくりこない「感覚」の確認に有効かもしれません。
 
❶ニュートラルの確認(タダーサナ)
踵、お尻の面(仙骨の面)、肩甲骨、後頭部の4点が壁についているか確認してみましょう。
ひとつ確認してみていただきたいのは「壁と背中の間に手のひらが入るか」。余裕で手が通る場合は、普段から反り腰の傾向が強いかもしれません。また「頭が壁につかない」場合は、頭が前方に突き出てしまいがちで、日頃から呼吸が浅いかもしれません。
 
❷踵を押し出す力のキープ(ダンダアーサナ、アルダマツエンドラなど)
ポーズのキープ時間が長くなると、踵を押し出す力が弱くなることが少なくありません。足裏を壁につけ、足裏全体で壁を押し出してみましょう。「踵を押し出す力」は足首の関節が関係しており、まっすぐ立つための重要な要素のひとつです。
 
❸反り腰の確認(戦士のポーズⅡ)
壁に、次の3点【お尻の面(左右2点)・肩甲骨(左右2点)・頭(踏み込んだ手の先方向に目線を向けるので耳)】をつけるよう意識してみます。
腰が反ると、肩甲骨や頭が壁につきづらくなります。
 

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❹重力による負荷を軽減して、筋肉骨格の使い方を確認(チャトランガ)
手のひらで壁を押しながら、肩甲骨を左右に開く意識をもちます。脇を開かないようにしながら、肩を下制し(腰方向に下げ)、腕を体に沿わせるように後ろに引きます。通常のチャトランガに比べて重力の負荷がかからない分、筋肉をどのように使えばよいのかに集中しやすいです。
 
❺膝を直角に曲げ、太もも垂直をキープ(ラクダ)
両膝と股関節を壁につけた状態で、ゆっくり上体を後方に倒します。膝直角(90度)を保ちつつ、腰が反りすぎないよう体幹で体を支えながら、気持ちよく胸を開いていきます。壁を活用して脚を固定することで、「膝~股関節が0ポジション(ニュートラル)」「体幹・臀部筋肉の刺激」の効果が得やすくなると考えます。
 

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❻バランスのサポート(戦士のポーズⅢ)
このポーズは、片足立ちでTの形になりながら、骨盤まっすぐを保ち、後脚をまっすぐ伸ばす必要があります。慣れるまではなかなか難しいのですが、これができれば縮みがちな腹筋を伸ばし、適切に腹圧を入れることができます。そのため、後ろに伸ばした脚の足裏で壁を押し返す(後脚をまっすぐ伸ばす)ことで、この感覚を掴みやすくなってきます。筋肉の使い方や関節のポジションなどを感覚でつかめたら、あとはポーズをキープするための関連筋を鍛えていきましょう。
 
❼難易度が高いポーズにチャレンジ(シルシャアーサナ)
壁を使えば転倒することがないので安心ですが、上級者ポーズなので無理は禁物です。足を床に置いて膝の伸びているポジションから、足を壁に移動させます。腿が床と並行になる位置まで足を壁に沿って歩かせます。なんとなくヘッドスタンドでホールドする感覚をつかめ、ヘッドスタンドのための身体づくりに役立ちます。
 

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いかがでしたか?ご自宅で練習される際には、ぜひ参考にされてみてください。
 
 

#44 身体に合ったレッスン


こんにちは。
ヨガインストラクターのuriです。
 
今回のテーマは「身体に合ったレッスン」です。

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◻️股関節が固くなり、腰痛がある方に合わせたヨガレッスン
 
呼吸の観察をするとき
一般的に胡坐(あぐら)は、腰部や股関節に緊張を生みやすいポーズですので、腰痛がある方には「仰向けで呼吸の観察」が有効かもしれません。膝をのばすと腰が痛む場合は、膝を立てるか、脚を伸ばした状態で膝の下に丸めたタオルなどをセットし、腰を安定させます。
 
仰向けで寝た時に床と腰の隙間に「手のひら一枚分以上の隙間がある」場合は反り腰の可能性があります。反り腰であっても猫背であっても、骨盤が前後過度に傾いている状態だと、呼吸筋のひとつである「骨盤底筋」が不安定になります。また骨盤が左右に傾くと「腹横筋」が崩れ、腹腔内の内圧(腹圧)がうまく入らず、「横隔膜」の動きも制限されます。このように、腰痛がある方は、腹式呼吸が上手くできない傾向があります。
 

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実は「正しい腹式呼吸」は、あまりお腹が膨らみません。本来であれば、安定した呼吸時は腹圧が入っており、その腹圧によってお腹が膨らみすぎるのを制御します。腹部だけでなく、背中まで広がるような感覚です。
 
仰向けで呼吸を観察するメリットとして、お腹に手を当てることで呼吸を感じたり、背中が床方向に沈む感覚を確かめやすくなります。
 
ハムストリングスを伸ばすとき
腰痛の原因は複合的ですが、「ハムストリングス(腿裏)」がひとつ挙げられます。
 
そのため腰痛を改善するためにはハムを伸ばす必要がありますが、前屈の強度が強いポーズは股関節に負担をかけすぎてしまいます。例えば立位から始まる「深い前屈」「ダウンドッグ」は、上半身の重さを股関節で支えるため、普段の慣れてしまった(狭まってしまった)股関節可動域を超えて動いてしまう場合もあります。

そこで、座位や仰臥位(あおむけ)でハムストリングスを伸ばすポーズがベターだと考えます。例えば「ダンダアーサナ」からの「パスチモッターナアーサナ」です。

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前屈方向にかかる重力が比較的小さく、ご自身でコンディションをみながら膝を曲げつつ、前屈角度を調整しやすいというメリットがあります。
 
膝の過伸展をゆるめるとき
膝がロックしやすい方は、足指がうまく使えていない可能性があります。足指が床から浮きがちでやや踵重心になると土台が不安定になり、脚で体重を支えようとすることで前腿が張り、膝がニュートラル位置より伸展してしまいます。

そこでウォーミングアップでは、足指をぐーぱーでよく動かすことや、ゴルフボールで足裏をほぐし、足裏中央を持ち上げてみることが大切だと思います。
 
ちなみにこのゴルフボールマッサージは、毎日するのがオススメです。体内には、血液をとおして酸素と栄養が供給され、供給先で老廃物を回収するしくみがあります。このとき、大きなポンプの役目を果たしているのが心臓ですが、足の裏はちょうど動脈と静脈の折り返し地点にあたることから、もうひとつの重要通過ポイントになります。(ただし食後は、消化のため胃に血液を集めたいので、血液を分散させないためにも、ゴルフボールマッサージとヨガは避けてくださいね。)

各ポーズで軽減をオススメすることも大切。「痛気持ちいい」は黄色信号です。無理をしすぎずに、少しずつ体を慣らしていきましょう。
 

#43 産後の骨盤

 
こんにちは。
ヨガインストラクターのuriです。
 
今回は「産後の骨盤」について考えます。 
 
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◻️産後の骨盤の状態
骨盤自体はそもそも可動性が低く、骨盤内の関節としては仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節部分が可動域としてあるのみです。「骨盤の変形」は、妊娠や怪我などで外から強い力が加わるといった特殊な状況でない限り、ほとんど起こることはありません。
 
妊娠中は骨盤腔内に胎児がいるため、骨盤腔内を広げようとリラキシンというホルモンが出て、骨盤関節部の靭帯が緩くなります 。一方、産後はその必要がなくなるのでオキシトシンというホルモンにより、緩くなった靭帯が数ヶ月かけて戻ろうとします。

出産のために開いた骨盤は、一般的に産後2ヶ月くらいかけて元に戻ろうとしますが、まれに元に戻りにくくなっている可能性はあります。
産後は筋肉が少なくなっていたりして、思ったように元に戻らないことも。

骨盤が開いたままだと身体は内臓を守るため皮下脂肪を蓄え、産後太りの原因になる場合もあります。
 

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◻️産後の骨盤矯正は本当に必要?
出産後に一時的に広がった骨盤の回復はホルモンによって元に戻っていきます。そのため、骨盤矯正をしなくても自然に回復するのを待つだけでも十分との意見も。もし産後の骨盤矯正やストレッチを行う場合は、無理をしない範囲で行いましょう。
 
産後すぐは思っているよりもおなかはへこまないもの。それは子宮がまだ大きいままだからです。子宮の収縮とともに、おなかは元の大きさに戻っていきます。

体重が元に戻っても、体型は戻りにくいもの。妊娠前のスタイルを取り戻したい場合は、産後用の特別な体操が必要になってきます。産後6ヶ月くらいかけて元に戻すのがベストです。
 
ただし、産後は体を回復させることが第一で、産後すぐに腹筋運動などをすることは尿もれにつながることも。少なくとも産後7~8週間過ぎてから、体調と相談しつつエクササイズを始めましょう。
 
◻️「骨盤底筋群」を中心に全身を整える
オススメポーズの一つに「セッツバンダアーサナ」が挙げられます。

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太ももの間にタオルなどを挟んで、肩と膝とで、胸~股関節を引っ張りあうようにします。
 
身体のゆがみの原因は骨盤だけでなく、全身の筋力・柔軟性のバランスの乱れによるものもあります。通常のヨガクラスで、全身をまんべんなく整えることも大切かもしれませんね。